書評を中心としたブログ「404 Blog Not Found」で有名な小飼弾によるメタ新書(新書の新書)。
章立ては下記のようになっている。
- 序章 生き残りたければ新書を読め
- Part1 新書の買い方、読み方
- Part2 新書を10倍生かす方法
- Part3 新書レーベルめった斬り!
- 終章 新書と電子ブックの未来
その点で面白かったのは以下の部分。
しかし、本の価値は、極論すれば、内容が偏っていることにあります。確かに、毒にすらならない、何も残らない本を読むよりは、極論で知識マップを埋めた方が意味があるだろう。そして、その知識全体がピーキーにならないためにも数は必要なのだ。
ひとりの著者が、独断と偏見による考えを披露するのが本です。両論併記の中庸な意見より、いろいろな立場からの独断と偏見をいくつも取り入れた方が、はるかに情報として意味があるのです。(p18)
もうひとつ、読書法の部分で面白かったのは以下の部分。
本の内容を事細かに覚えておこうと必死になる必要はまったくありません。ぼんやりとしたイメージだけインデックスとして覚えておいて、正確な情報が必要になれば読み返せばいいのである。まさにウェブ的な考え方だ。
私の場合、「何となくこんな感じ」という印象だけ記憶に残すようにしています。(p86)
さて、なかなか他の本では得られない情報だな、と思ったのが「新書レーベルめった斬り!」の部分。岩波、中公新書を皮切りにマイコミ新書のようなマイナーどころまで、レーベル自体の解説とそれぞれのオススメ本やダメ本の紹介をしている。このような体系的なまとめは、さすがに新書一冊を10分で読むという著者ならではのコンテンツと言える。ダメ本にも割と寛容な著者であるが、嘘や怠慢には手厳しい。例えば藤原正彦の「国家の品格 (新潮新書)」については、「数学者らしからぬ理の怠慢」を指摘して「ムカつく」本に挙げている。なお、新潮新書には当たりも多いが「ムカつく」本も多いとのことだ。
他にも、ユニークな読書ノウハウ(タイトルが短いほどダメ本率が下がる、自己啓発本はツッコミを入れながら読むべしなど)盛りだくさんで、しかも「新書」である本書は、体系的に読書術を参照できる良書だと言えるだろう。
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