2012/07/15

ちきりん 「社会派ちきりんの 世界を歩いて考えよう!」



 人気ブロガーちきりんさんによる旅行エッセイ、トリビア集。学生時代から20年以上に渡って50カ国以上を旅してきた経験をもとに、美術館や古代遺跡、はたまた現地の労働者といった様々な視点から、外国の模様を紹介しつつ旅先で快適に過ごすためのちょっとしたトリビアも付け加えてくれる気の利いた一冊…と言いたい所だが、さにあらず。これは海外旅行をネタ元に、「自分のアタマで考え」た実例集ではないかと思っていたら、ソデに「自分のアタマで考えるってどういうことか、この本を読めば分かります。」と書いてあったので、あながち間違いでもないだろう。


 海外旅行の効能は色々あると思うが、そのひとつに自分の立ち位置を知ることができる、ということがあると思う。自国とは異なる文化圏の人や物を見て、何が違って何が同じなのかを認識できれば、相対的な位置関係が構築できるからだ。本書はまさにその位置関係の構築を、ちきりんさんがどのようにやったかという実例集だと言える。何を観て、どんな経験をして、どう考えたか、その実例集だ。

フィリピンのリゾートで紅茶を注文すると、リプトンのティーバッグが出てくるのはなぜ?
シンガポールエアラインが世界一の航空会社なのはなぜ?
ソビエト崩壊後のモスクワはどう変わった?

 自分がちきりんさんと同じ体験をしたとして、自分ならどう考えるか?そんな風にある種のケーススタディとして、自分のアタマで考えながら読めば、より楽しめる一冊だと思います。