2011/12/18

オーナーラウンジ三社三様 in 東京モーターショー2011


 24年振りに都内での開催となった今年の東京モーターショー。立地面での好条件もあってか、会期が縮まったにもかかわらず観客動員は前回比40%増と好調だった様子。自分も石川県から参加しましたが、羽田空港からバスで30分という立地は非常に便利でした。
 上の画像の通り、会場は数字の通りの大盛況。そんな、通路ですら動きづらい状況の中に気なるのが、一部メーカーが用意しているラウンジたち。混雑している下界を見下ろすリラックス空間は、オーナーや取引先だけが入ることのできる特別な場所。我々下々の人間は羨望の眼差しで見つめるばかりです。
 そんな憧れのラウンジもメーカーごとに個性があって面白かったので、3社のラウンジを紹介してみたいと思います。まずはBMWから。


 BMWのラウンジはごくごくオーソドックスなもの。シティホテルの2階にあるレストランのような佇まい。しかし、せっかくの上から目線になれる空間にも関わらず、若干見世物小屋感が漂う辺りがもったいない。続いてはポルシェ。


 BMWのラウンジは外から丸見えでしたが、ポルシェのラウンジはスモークタイプのガラスを使用。見世物小屋感をきっちり消すことに成功しており、さすがポルシェという完成度です。最後に国内メーカーでは最も業績好調な日産。


 手前にスバルの看板がありますが隣のブースのもので、ラウンジは日産のもの。80年代に考えた21世紀の住宅といった雰囲気の未来的なデザインも、問題は全くお客さんがいなかったこと。自分が周辺をウロウロしていた間は1人も利用している人が現れませんでした。何か問題があったのか、利用できる身分の人が来場しなかったのか、理由は分かりませんがマイナスのPR効果を発揮してしまったのではないでしょうか。次回からの奮起に期待したいところです。

 主としてクルマの展示会である東京モーターショーですが、このようにクルマ以外にも多くの見所があり、展示面積が狭くなったとはいえ1日で回るには十分すぎる内容に大満足でした。ただ、前述のとおり混雑はかなりのものだったので、会期を延長する、会場を幕張に戻す、など混雑への対応を願いたいところです。

2011/12/15

Gmailのパスワード変えたらiPhoneからアクセスできなくなった話


gmail_mailbox / rovlls


 ずっと使っていたGailのパスワードはあまり長くないものだったので、昨今の情勢を考えて少し堅牢なものに変更した。変更自体はMacのChromeから行なった。Gmailには他にも色んな所からアクセスするが、エラーが出たときに都度パスワード設定を修正すればいいやと思っていた。果たしてiPhoneからアクセスしてみると、

ユーザ名またはパスワードが間違っています


とのエラーメッセージ。これは想定内なので設定画面に行ってパスワードを変更。しかし、繋がらない。タイプミスかと思い3回ほど入れなおすも効果なし。

ユーザ名サーバ 'imap.gmail.com' への接続に失敗しました。


なんてエラーまで出る始末。自力での解決を断念しGoogleセンセイで調べてみると、どうやら不正アクセスを検知した場合アカウントをロックする仕組みがあるようだ。おそらく、iPhoneが間違ったパスワードで自動的にリトライしまくったか何かで不正アクセスと検知され、ロックがかかった様子。24時間程度で解除されるようだが、下記のサイトから即時にロックを外すことにできるとのこと。




Google Acounts

 試してみたら、きちんとロックが解除されiPhoneからGmailにアクセスできた。教訓としては、パスワードを変更したら、アプリを動かす前に設定を変えるべし、ということですね。1つ賢くなった。

できるポケット+ Gmail

松本 淳 インプレスジャパン 2009-08-07
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2011/10/02

なでしこリーグ 2011年11節 INAC神戸レオネッサ VS アルビレックス新潟レディースを観てきた

 隣の福井県でなでしこリーグの試合、それも上位チーム同士が当たる好カードが開催されるというので、会社の先輩と連れ立って観戦してきた。当初は無料試合の予定だったが、W杯優勝後のフィーバーもあって有料試合に。
 INACは国内唯一と言える、バイトせずにサッカーできる女子チームで、代表7名(澤、近賀、大野、海堀、川澄、田中明日菜、高瀬)に加え、韓国代表2名(チ・ソヨン、クォン・ウンソム)が所属。来年からは全選手プロ契約になるとのことなので、良い試合をして、どんどん稼いで欲しい。ここまでは9戦全勝、失点はわずかに2という強さ。今回は福井県までやってきてホームゲームを開催してくれる。ありがたいことです。
 対するアルビレックス新潟レディースは、代表2名(阪口、上尾野辺)が所属。試合前の順位は4位だが、一時は2位につけていた上位チーム。第2節のホームゲームではINACをビッグスワンに迎えて24,000人の観客動員(なでしこリーグ記録)を記録している。男子も含め、アルビレックスはしっかり地域に根付いていて素晴らしい。

 開催地のテクノポート福井スタジアムは、海沿いの埋立地にあり交通の便は良くないので自動車で向かう。かなり早めに着く予定で出発したのだが、周辺は駐車場待ちの渋滞があって駐車に苦労し、スタジアムには予定より40分位遅く入ることになってしまった(試合には余裕で間に合ったが売店をゆっくり見る時間無し)。後ろにはまだまだ車の列があって、隣の席の人はハーフタイムにやってきたので、それくらいまで渋滞していたのかもしれない。

どこまでも続く赤いテールランプが綺麗で…

 スタジアムは、天然芝で2万人収容、球技専用の本格的な競技場。J1チームがいても大丈夫。いないし、出てくる気配もないけど。ちなみに、メインスタンドは独立シートで、バックスタンドとゴール裏はベンチシート。露店はバックスタンドの裏側で営業していた。メインスタンド側はお店がなく、メインスタンドのほうにバックスタンド感が漂うという不思議な雰囲気。

スタジアム全景

やきとりの名門、秋吉が出張出店。

 そういえば、なでしこリーグは「Hotto Motto」などを運営するプレナスがメインスポンサーなのに「ホカ弁」は売ってなかった気がする。ホントにお店を出してないとすれば、もったいない。

 我々はバックスタンドアウェイ側のシートから観戦。アウェイ側とはいえ、真ん中近くの中段で中々よい位置だった。ただし、天気が良かったこともあり、常に逆光。

試合前の練習中

ボールボーイではなくボールガールがマルチボールで活躍。

セレモニーがあちら向きなのもバックスタンドの悲しいところ

INACのサポーター

アルビレックスのサポーター

円陣組むよ〜

円陣組むよ〜、あれっ!

間に合った。

 というわけでキックオフ。前半25分位まではアルビレックスのプレスが良く、一進一退の攻防。しかし、次第にINACがボールを支配し始め、真ん中でしっかりキープした後、左の川澄、右の近賀にはたいてサイドから崩すという展開が多くなる。澤、チ・ソヨンあたりできっちりボールが収まるので安心して周りが動いている感じ。


川澄は小柄で細身のイメージだったが、意外と肩幅が広くていかり肩なので、実はフィジカル強そう。左サイドでワイドに開いてボールを貰う動きが良く、スピードに乗ったドリブルでゴールライン付近まで切り込むシーンが多かった。


 INACのプレースキッカーはチ・ソヨン。澤よりひと回り分厚い感じであたりが強い。きっちりボールが収まるし、足元も巧かった。かなり効いてたと思う。


 コーナーキックのスタンバイをする澤アニキ。状況予測、判断、視野の広さはさすが。深めの位置からバックラインの裏を狙うパスはだいたい澤から出ていた。


 阪口、5番の人を相手にボールキープをする大野。後ろでは澤と上尾野辺がマッチアップ。豪華だ。大野はこの日2得点。ドリブルもキープもできるが、シュートのキックが巧いなあ、という印象。


 INACの右サイド=アルビレックスの左サイドでマッチアップした近賀と上尾野辺。


 個人的には広瀬香美に見えて仕方ない阪口は攻守に奮闘。地味だが足元がめちゃくちゃ巧く、トラップが吸い付くように止まる。見事なミドルシュートを海堀に止められるシーンあり。


 代表でボランチだった田中明日菜は、CBで先発。実はここまでリーグ戦で3点取ってます。


 左サイドに切り込んだ川澄が大野へラストパス。これを大野が決めて先制点。ロンドン五輪予選の韓国戦を思い出すような展開。


 阪口、澤を削るの図。イエローカードが出た。


 またもや、川澄が左サイドを突破。途中からこういうシーンが増え、INACが押し込み続ける展開に。結局、川澄の左サイドの突破からINACが2点取って(大野と米津)前半終了。最初は、そんなに差は無いな、と思っていたが徐々にINACが自力を発揮してきたところで、ハーフタイム。

監督「後半から行くで」、高瀬「うっす」

チアリーダーによるハーフタイムショー

ピッチサイドの水を補充してます

ハーフタイム中
メイン、バック、ホーム側ゴール裏がだいたい埋まって
13,000人入っていたそうです

主審も女性の方

 後半になってもINACの優勢は変わらず。圧倒的にボールを支配して攻め続ける。新潟はボールが取れず、取ってもクリアしかできない。たまに9番の人が頑張ってキープするも、サポートが無くてどうしようもない、という展開が続く。すると、またもや川澄が左から切れ込んで、こぼれ球を大野が押し込んで3点目。その後もINAC優勢は変わらず、これで終りと思ったのか、渋滞にうんざりしていたのか、帰る人も出始める。が、しかし……


 INACは後半から高瀬を投入。フィジカルを生かして突っかけていたが、コンビネーションがいまひとつで目立った活躍はできず。


 W杯レベルだと大きくない海堀も国内だと大きく見える。単に高いだけじゃなくて、分厚い印象。空手をやっても活躍しそう。パスをわざわざ足で受けて、相手選手が近づいてきてから手で取る、というイラッとさせる演出は今回はなし。声もデカくてよく通る。GKには重要な能力だ。


 たまたま写った近賀さんの面白ポーズ。


 お疲れモードの近賀。精力的に右サイドを駆け上がること多数。代表と変わらぬ運動量を攻守に発揮していた。走り方や蹴り方が男性的なフォームできれい。


 上尾野辺はFKから2点目となる北原のヘディングゴールをアシスト。ドリブルにキックに切れのあるプレイを見せたが、90分それが続くというタイプではなさそう。柏木みたいな感じか。

 3点リードの上に圧倒的にボールを支配するのを見て、ほとんどの人がINACの勝利を確信していたはずだが、その後、まさかの展開。2度の交通事故(INACのミス)とFKからのヘディングで、なんとアルビレックスが引き分けに持ち込むという、八百長を疑うレベルの面白すぎる試合に。

交通事故ゴールの瞬間。まさかの同点。

 終わってみればアウエーのアルビレックスが脅威の粘りを見せて、INACの連勝を9で止め、全勝優勝の夢を崩壊させるという重要な試合になった。これが本当のホーム戦であればかなりガッカリな展開だが、福井県なので実質、両チームアウエーみたいなもの。エキサイティングな試合に13,000人のお客さんは大いに盛り上がったのでした。


 というわけで、INAC胸スポンサーの黒糖ドーナツ棒を買って帰りましたよ、と。(亀田製菓のお菓子は普段から食べてるしね)



おまけ「代表以外で目についた選手」
(不勉強で名前を知らなかったので、当日は背番号で呼んでました_(._.)_)


 4番の人(東山)はかなり小さいのにCBとして躍動。


 5番の人(川村)は長身で手足の長い欧米風の体格を生かしたプレーが目を引いた。ボランチとして活躍。


 9番の人(菅澤)は前線で孤立しながらも、体を張ってボールキープに勤しみ、時には独りで仕掛ける強さがあり、鈴木隆行を彷彿とさせた。そのご褒美もあってか、交通事故をキッチリ決めて2得点。お見事。



凛と咲く なでしこジャパン30年目の歓喜と挑戦

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2011/09/25

冲方丁 「天地明察」



暦を巡るプロジェクトX時代劇
 日本の暦は今でこそグレゴリオ暦(西暦)を使っているが、江戸時代の当初は、9世紀に中国より伝来した宣明暦を使い続けていた。この暦には誤りがあり、本書の時代背景である17世紀まで800年に渡って使い続けた結果、2日のズレが生じていた。そこで碁方(プロの碁打ち)の家系ではあるが算術、天文にも明るい主人公、渋川春海を中心に、日本独自の暦、大和暦を作り上げるプロジェクトが動き始める。本書はその大和暦制定プロジェクトに尽力した人たちを描く、江戸時代版プロジェクトX小説である。

武士が主導する「武」から「文」への転換
 たかが暦と思いがちではあるが、本書の中では暦は、農業上の重要性のほか、「武」から「文」への統治手法の変化の象徴として描かれている。時は17世紀末、戦乱の世が終わって太平の世の中になり、元禄文化が花開こうとしているまさにその時、その象徴なのである。驚くべきはそれを主導しているのが、武士だということ。
 渋川春海は武士ではないが(後に武士階級を与えられる)、プロジェクトを立ち上げたのは会津藩主、保科正之であり、もちろん武士である。つまり武士が自主的に「武」を捨てることを選択したということであり、こういう転換は世界的にも珍しいのではないか、と感心してしまった。

多くの要素が絶妙に混ぜ合わせた構成
 主題が改暦の本書であるが、その他にも様々な要素がある。渋川春海の本職は碁方であり、その碁にも転換点が訪れる。将軍の前で打つ碁は当時、過去の棋譜をなぞって打つ、いわばプロレスであったが、碁のさらなる発展のため真剣勝負にしようという提案が挙がり始める。暦の作成に使った算術では和算で有名な関孝和との絡みがある。そして、春海自身ののラブストーリーもあり、保科正之はじめ多くの協力者たちにはそれぞれのバックグラウンドがある。それら様々な要素は巧みにに織り混ぜられ、日本文化のひとつの転換点を非常に「面白く」浮かび上がらせてくれる。この構成は絶妙と言う他ない。

登場人物のコミカルさは映像化を意識して?
 本書の「面白さ」の1つは登場人物のキャラクターが妙にコミカルなところ。時代小説の割に、キャラクターは妙に今風なのである。ヒロインのえんは男勝りの武家女子、関孝和はキレるだけキレてから仲間になる少年ジャンプ式、主君にあたる酒井は面白みのない無気力キャラかと思いきや、実は切れ者という描かれ方だ。酒井との淡々とした囲碁シーンや、えんが春海を叱りつけるシーンなどは、映像化を意識して書いているのでは(映画化したときに売れやすそう)、と思えるほど容易に光景が浮かんでくる。そんなわけで、本書は非常に「面白い」ため、第31回吉川英治文学新人賞作品ではあるものの、文学作品と言うよりは娯楽作品と言えるかもしれない。

 などと書いていたら、「おくりびと」の滝田監督で映画化されるようだ。自分の脳の中で再生されていた幾多のシーンがどう映像化されるのか、楽しみである。

天地明察

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