2022/06/19

ベテラン山小屋バイトのイラストエッセイ / やまとけいこ「黒部源流山小屋暮らし」を読んだ

何か目ぼしいアウトドア飯の本がないかと図書館をブラブラしていてたまたま発見したのがこの本、「黒部源流山小屋暮らし」。 表紙のイラストが良かったので思わず借りたのだが、内容も面白くて一気読みしてしまった。 

 著者のやまとけいこ氏は出版時点で薬師沢小屋通算12シーズン勤務のベテランアルバイト。 普段は山や旅のイラストレーターとして活躍されているとのこと。学生時代はワンゲル部に所属していたという筋金入りの山屋がそのまま山関係の仕事をしている形だ。

個人的にはこの手の本は初心者バイトによるびっくり日記や山小屋経営者(それこそ「黒部の山賊」の伊藤正一さんのような)によるものが多いイメージだが、 本書はベテランバイトというどちらでもない立場からのもので新鮮。 

内容は、小屋開けからハイシーズンを経て小屋閉めに至る1シーズンを時系列で追いながら、その間で起きる出来事を過去の話も含めた紹介がメイン。 途中、山小屋の法的な位置づけや、遭難時の対応、著者が大好きなテンカラ釣りなど周辺環境の紹介も入ってくる。前述の通り、ベテランのアルバイトであるため非常の落ち着いた、時に達観した目線での書き口になっていてとても読み心地が良い。

しかし、環境はなかなか過酷。山小屋スタッフの個人スペースは1と1/3畳。 一度山に入ったら小屋閉めまで降りないため途中で衣類が破損すると悲惨なことになる。 動物や自然との共存も大変。ヤマネがヨーグルトに落ちて溺れていたみたいなコミカルな話もあれば ツキノワグマに小屋の中に侵入されたというシビアな話もある。 薬師沢小屋は谷底にあるため、気軽に渓に降りていると鉄砲水で死にそうになることもある。 

こうしたエピソードを、ふんだんに盛り込まれるイラストや写真で紹介してくれるのだが、イラストがとても良い。 すっきりした画風は個人的には大変好みで、画としても見ていて楽しいし内容の理解にも役立ってくれる。

そんなイラストにひとつでもある冒頭の手書き地図を見て、(伊藤正一さんが開いた)雲ノ平山荘はお隣に当たるのだな、と思っていたら、 伊藤正一さんや現オーナーの二朗さんについての記述も出てきた。別資本ではあるけれども今は山小屋同士協力し合うような体制もできつつあるそうだ。 山小屋同士が連携していれば登山者としても心強く感じることだろう。 

 自分は登山は全然しない人なのだが、本書を読んでちょっと黒部源流域に行ってみたくなった。 ということは、元々興味を持っていた人の中には本書を読んで実際に薬師沢小屋を訪れる人もいることだろう。 何せそれくらい黒部源流域の魅力が伝わってくる1冊なので。

 ところで本書、山と渓谷社から出てるのですが、著者のお名前(本名っぽい)は山と渓谷社の申し子みたいですよね。すごい。

黒部源流山小屋暮らし

山と溪谷社 2019年03月16日頃
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定本 黒部の山賊

山と溪谷社 2019年02月14日頃
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2022/01/23

服部文祥「ツンドラ・サバイバル」を読んだ



刊行(2015年)からそこそこ時間の経った本だが、今更ながらサバイバル登山家として知られる服部文祥氏の「ツンドラ・サバイバル」を読んだ。サバイバル登山とは極力食料を現地調達するスタイルの登山で、夏なら渓流釣り、冬なら猟をしながら登山をする。

本書はそんな著者の2010年から2013年にかけての国内でのサバイバル登山の記録と、2013年にNHK BSの番組、”地球アドベンチャー 冒険者たち「北極圏サバイバル ツンドラの果ての湖へ〜登山家 服部文祥〜」”にてロシアのツンドラ大平原をサバイバルスタイルで旅した際の記録をまとめたものである。

もともと服部文祥という存在もサバイバル登山家であることも知っていた。前述のNHKの番組も、たまたまではあるが放送時に観ていた。が、当時は「すごいなあ」と思いつつもそれほど興味は湧いていなかった。しかし、ここにきてあらためて興味が湧いてきたきっかけは以下のYouTube動画である。

服部氏が世界的クライマーである山野井泰史氏(服部氏の古くからの友人でもある)と共に新潟県の奇岩ガンガラシバナに登りに行くというものだが、道中で豊富に撮影されている野営模様が、ちょうどコロナ禍もあってキャンプを再開していた自分の琴線に触れた。息をするように野営している山屋の男たちは言うなれば高度なスキルを持ったキャンパーのようなものであり、俄然、服部氏の持つスキルやこれまでの経験に興味が湧いてきたのである。

そんなわけで読み始めた本書、やはり面白いのはタイトルにもなっているNHK番組の旅の記録である。番組は服部氏がツンドラの大平原をサバイバルスタイルで旅して隕石湖エル・ギギトギンに到達し、そこで幻の固有種イワナを釣って食べるというもの。道中、トナカイ遊牧民の1人(名前はミーシャ)と合流し、彼が獲ったカリブーを食料に目的地を目指す。

番組内ではミーシャの合流はチープな寸劇の末に決まっており、「どうせ仕込みなんだからガイドか何かとしてしなっと合流させればいいのに」と思っていたのだが、本書によると完全に偶然だったようだ。たまたま遊牧班の班長と揉めて干されていたため「一緒にエル・ギギトギンまで一緒に行かない?」「いいよ」という仕込みとしか思えないやり取りで合流することができたのである。むしろ仕込みじゃないからぎこちなくてチープに見えていたのか…。

果たして合流したミーシャはリアルにツンドラを生き抜くトナカイ遊牧民であり、そのサバイバルスキルはガチンコであった。サバイバル登山を提唱する服部氏のスキルはもちろん低くはないが、あくまで趣味の領域であり、目の前に現れた「ホンモノ」を畏敬の念を持って見る。ナイフ、猟銃の使い方、カリブーの動きの読み方、釣りの技術、獲物の捌き方、火起こし、炊事、ミーシャの多くのサバイバルスキルを観察し、自分のスキルとの共通点や相違点をレポートする筆致は本書の中でも一段と鋭い。

番組名にサバイバルを謳うものの、今回は普段のひとりで行うサバイバル登山とは違ってカメラマンやロシア人のコーディネーター、ポーターが同行しており、大名行列状態だったようだが、服部氏は明らかにこれら文明人たちよりミーシャに共感を覚えている。むしろ憧れのようなものを抱いてすらいたのではないかと思う。服部氏のサバイバル志向はおそらく日本で言うところのマタギや「黒部の山賊」的な人たちに憧れるところから来ているのではないかと思うのだが、ミーシャは正に現役のそういう人なのだ。

そんなミーシャとの旅もエル・ギギトギンに着いて佳境を迎える。サバイバルスタイルは自分ですべての装備を運ぶルールであるため、湖での釣りにはおもちゃのゴムボートを使わざるを得なかった(残念ながらオールだけはヘリで湖まで空輸した)こともあって大苦戦。番組を観ていてもゴムボートは今にも転覆しそうで危なっかしかったし、実際に沖に漕ぎ出せず苦労していたようだ。そんな中、何とか1匹の魚を釣り上げることに成功する。残念ながらお目当て固有種ではないがこれで最低限番組は成り立つなと一同ホッとした…ところからの逆転ホームラン。仕込んでいたんじゃないかと思うくらいドラマチックである。

他にも放送には登場しなかった話が盛りだくさんである。文明側ロシア人とミーシャの軋轢、早く帰りたい態度ありありのロシア人スタッフに毅然とした態度で対応するNHKディレクター氏、撮影完了して帰ろうとしたところで天候悪化して2週間ほど缶詰になった話などなど。惜しむらくは、今となっては読んだあと/読む前に番組を参照できない点だが、本書だけでも十分面白い。キャンプ、サバイバル、冒険、探検好きな方はぜひ手にとって読んでみて欲しい一冊である。

ちなみに服部氏は情熱大陸にも出演したことがある。その時はサバイバル登山中に滑落し重傷を負う模様が放送された。本書の前半、国内部分にはその時の話も詳しくレポートされている。その時のカメラマンが平出和也氏だったとは知らなかった。


サバイバル登山の記録ではなく、スキルだけをまとめた本もある。

2021/06/21

Spring-8近くで和菓子屋が営むカフェ「末廣堂 光都苑」に行ってきた

Spring-8をご存知だろうか。和歌山毒物カレー事件でヒ素の分析に活用された際、一般にもその名が広まった、日本を代表する大型放射光施設で、多くの分析、研究に活用されている。

西播磨の山を切り開いて作った播磨科学公園都市の中にあり、所在自治体としては別なのだが勝手に地元の施設扱いしている。

先日、実家の田植えを手伝いに帰省した折、その近くに地場の老舗和菓子屋、末廣堂が営むカフェがあるらしいことを知った。和菓子屋なのに自家焙煎した豆でコーヒーも出しているらしい。

せっかくなので石川に戻る前にそこでコーヒーを飲んでみることした。いつもファミマのコーヒーを飲んでカフェインを補給してからドライブしているのでその代わりだ。実家からはクルマで20kmほど、ほとんど信号ない道をのんびり走る。

Google先生のおかげもあって、特に労せず到着。

エントランス
和菓子屋が運営するだけあって、和風の佇まい。中に入ると会計場を兼ねる物販スペースがあり、本業の和菓子やコーヒー豆を販売している。その奥がカフェスペース。

椅子席、座敷の他、窓の外にはテラス席もある
千種羊羹という羊羹が祖業であるようなので、羊羹とコーヒーのセットをオーダー。ドライブを前にカフェインの力で脳に糖分を送るのだ。コーヒーの選択肢は多数あるが、「オススメ」印の付いていたコーヒープレスで。

コーヒープレス
コーヒープレスは容器ごと運ばれてきて、砂時計が落ちたらプレスして注いでください的なことを案内される。程なくして羊羹も到着。

コーヒーと羊羹

窓の向こうに見えるテラス席

コーヒーも羊羹も味は奇をてらったところなく、普通に、オーソドックスに美味しかった。落ち着いた店内の雰囲気もGood。

ちなみに喫茶的なメニューのほか、ランチも食べられる。ちょっとメニューが多すぎる気がしないでもないが、周囲には飲食店が少ないので需要があるということだろう。いろいろ楽しみたい人には良いと思う。

チビチビとコーヒーを飲みながら羊羹を食べ、この後のドライブに向けてやる気をチャージ。お土産と自分用に、羊羹とコーヒー豆(4種類くらい選べる)を買い帰路についたのでした。次回帰省時にはまた来たい。


余談だが、途中「テクノ中央」という交差点を通った。

「テクノ中央」交差点。英語表記を貼り直した跡がある。
昔は「Tekuno Chuo」だったと思われる英字表記は「Central Tekuno」 を貼り直されていた。英語化するなら「Central Techno」じゃないかと思ったが、ここで言うテクノは「西播磨テクノポリス」の「テクノ」であり、「テクノポリス」が和製英語なので日本語扱いでローマ字表記になったのかなと想像、自分の中で納得した。好きな交差点名ですよ「テクノ中央」。

2021/06/05

いつの間にか(実際には4/27に)GARMIN ForeAthlete 245が血中酸素濃度測定に対応していた

普段ランニングの際にはGARMINのForeAthlete 245を使っている。軽い上にバッテリーが長持ちで大変気に入っている。つけっぱなしでも気にならないので、ランニングウォッチとしてだけでなく、ライフログの記録デバイスとして睡眠トラックなどにも活躍している。

普段はランニング計測の操作だけ時計側で行い、記録の閲覧などはスマホ側でおこなっているのだが、先日ふと今走った記録を見ようと時計側の「UP」ボタンを押したところ、血中酸素濃度の測定結果画面が出てきた(その時点では最初だったので記録なし)。

1回測定後の結果画面。機種によって異なる。

「えっ、そんな機能あったっけ?」と思って調べてみると、どうやら2021年の4月27日にファームウェアが更新によりが追加されていた模様。
Garmin 4月27日より対象ウェアラブルデバイスで 「血中酸素トラッキング」機能の対応を開始

 もちろん医療機器ではないので精度はそれなりで参考程度の情報ではあるが、いろんなシチュエーションで測定してどんな傾向があるか調べてみたくなる。

測定自体は時計側の「UP」ボタンを押して前回の測定結果画面を開き、しばらく待つだけ。そのうち自動的に測定が開始される。測定中は静止している必要があるようだ。

測定中の画面。

245はGARMINのラインナップの中でもエントリー機に位置し、スマートウォッチにカテゴライズされてもApple Watchほど高性能なSoCを使っているわけではないが、こまめなアップデートで少しずつ機能アップしてくれているのはありがたい。でも、ちょこちょこバグに遭遇するんですよね。アラームが鳴らないとか。場合によってはクリティカルな事象に発展するので、機能アップもありがたいけど信頼性の向上も望みたいところではあるのです。



ミロがなかなか良いのでモーニングルーティーンに追加した

最近ミロが人気で品薄らしい。何となく耳には入っていたがあまり自分には関係の無いことだと思っていた。ところがたまたま近所のイオンで買い物をしていた時、ふとミロが目に止まった。

これまでもそこにあって見ていたはずだがスルーしていた。しかし今回は、

「人気らしいって聞いたな」
「そういや子供のころ飲んでたな」
「今飲んだらどう感じるんだろ」

と、ひとしきりの思考が脳裏をよぎる。結局、1つ買って帰った。

さて、味はどうだろうか。子供の頃の味の記憶は全く残っていない。パッケージに記載の通り牛乳150mlに大さじすりきり2杯のミロを入れて作ってみると、普通に甘いココアのような味だった。健康食品だからといって我慢して飲むものではなさそうだ。

牛乳は温冷どちらでも良いとパッケージには書いてあるが、冷たい牛乳には溶けづらいように感じた。溶けずに粉のまま拡散する感じになる。

栄養成分はどうだろう。パッケージ裏面を見ると以下のようになっている。

パッケージ裏面の栄養成分表示

大さじすりきり2杯(15g)中、糖質が9.8g。甘いわけである。その一方で鉄分の%Daily Value(1日に必要な量に対する割合)が44%ある。ランニングを趣味にしている人間にとって鉄分充実というのはありがたいので日常的に飲んでいきたいところ。

もともとミロは朝食時に一緒に飲むことを推奨しているのもあり、起きがけに飲むことにした。ホットのほうが溶けやすいので着替えている間に牛乳を電子レンジにかけておき、着替えた頃にはできているホットミルクにミロを放り込んで溶かす算段である。

スタンフォード式 最高の睡眠」や「『朝がつらい』がなくなる本 ぐっすり眠る すっきり起きる習慣術」によると起きがけは血糖値や体温が低く、温かい糖質を摂って血糖値と体温を上げることでスムーズに身体を目覚めさせられる。ミロの場合はこれに鉄分やビタミン等、他栄養素も豊富なので、合理的なソリューションだと言える。

かくしてミロはモーニングルーティンの仲間入りを果たした。いつまで続くかは分からないが今の所2週間くらいは続いている。近年の夏は早朝でも暑いので、もしかしたら夏場にホットで飲むのがツラくなって続かなくなる可能性はある。まあ、その時はその時だ。そういえばミロというと、昔はリトバルスキーがCMに出てたよね。