2010/12/23

「アミバ天才手帳2011」が早速、間違っていた


 仕事を手伝ったお礼に、会社の人から「アミバ天才手帳2011」を頂いた。見ての通り「北斗の拳」の悪役キャラ、アミバをモチーフにしたシステム手帳だ。「充実した天才機能」と「驚愕するアミバ性能」が売りの商品だが、帯に光る「天才でも、間違える」のフレーズが眩しい。

 ちなみに、2011年向けに手帳化されたキャラは「ラオウ」と「アミバ」の2人のみとのこと。ラオウは分かるとして、2人目にアミバを選んだ理由が知りたいところだ。他の脇役でも魅力的なキャラは沢山いるだろう。「雲のジューザ」とか。いや、手帳向きなのはむしろ「海のリハク」か。

 せっかくなので「驚愕するアミバ性能」の一端を紹介したい。それは、毎日アミバ語1フレーズが紹介されている点だ。毎朝スケジュールを確認する際に、このアミバの言葉を合わせて確認することで、語彙力が高まり、潜在能力が引き出されるようだ。

一日一言のアミバ言葉

 さて、冒頭でも触れた「天才でも、間違える」というフレーズだが、残念なことに自分の貰った個体でも「間違い」を発見してしまった。1月3日の週のページと1月10日の週のページがくっついていたのだ。手帳をくれた人に報告すると、コンビニで見つけた他の個体でもくっついていたとのこと。製造工程自体に問題があるのではないだろうか。改善を望みたいところである。

切れてない



アミバ天才手帳2011 ん!?スケジュールをまちがったかな…
アミバ天才手帳2011 ん!?スケジュールをまちがったかな…

ラオウと天を目指す 世紀末覇者手帳2011 わが1年に一片の悔いなし!!
ラオウと天を目指す 世紀末覇者手帳2011 わが1年に一片の悔いなし!!

田中圭一 「みなりの青春」

みなりの青春 (ドパミンコミックス)

タイミング絶妙の有害(?)図書
 東京都の青少年健全育成条例に議論が沸騰している中、絶妙のタイミングで火に油を注ぐような内容のマンガが刊行された。表紙で「三つ目がとおる」の和登サン似の主人公、みなりが

「都条例がなんぼのもんじゃい!!」
「こちとら非実在青少年でい!!」

と叫ぶお下劣ギャグ4コママンガ、「みなりの青春」である。問題の表紙は下の画像の通り。


 内容は果てしなく酷い(ほめ言葉)。主人公みなりは、通う高校の教師と結婚している「人妻」で「母親」の女子高生である。彼女はかつて全クラスの男子と関係を持とうとした性豪で、全編あっけらかんとした下ネタで押し通す。
 クラスメイトも、100万人に一人の名器の持ち主で、多くの男を腹上死させた女子や、局部だけに効く性魔法を操る女子など「そんな」キャラばかりだ。どうしようもないキャラクターたちが、中学生の妄想のような下ネタをこれでもかと撒き散らしている。また、このタイミングで「小学生にしか見えないが25歳の大人」という女教師を登場させるあたりはさすがである(笑)。

一番の見所は表紙
 お下劣な内容も十分面白いが、個人的には表紙が一番の見所であると思う。上の画像で出版してしまうだけでも凄いと思うが、実はカバーを取るともっと刺激的な表紙が現れる。


ここまでやる必要があったんだろうか(笑)。ちなみにオビにも閣下の言葉を貰おうと都庁に連絡したが失笑されたそうだ。これらの粋なチャレンジ(笑)にグッと来た方は、是非作者の言う通り「人命救助だと思ってお買い求め」てあげて頂きたい。そうすれば、もっと刺激的な裏表紙のイラストも見ることができる。

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2010/12/19

ロードスターの幌をマジックテープで補修する

 クルマ(2代目ロードスター)を運転していたら、ふと髪の毛に当たる物が。調べてみると、幌がフレームから外れて頭上に垂れ下がっていた。フレームを巻き込んだ後、奥で縫われているような構造だが、その縫っている部分がほつれてしまったようだった。
 ディーラーに行って補修できないか聞いてみたが、張り替えるしかないとのこと。前回張り替えてからまだ3年経っていない中での張り替え(10万円コース)は厳しすぎる。もう少し騙して使うことにした。幸いにして幌の外れた部分の内側はマジックテープ状になっている。このため、フレームに粘着式のマジックテープを貼って幌をくっつければ何とかなる、とのアドバイスをサービスの人から受け実行することに。

フレームにマジックテープを貼る。手前は外れた幌。

 上の写真のようにフレームにマジックテープを貼りつけた。これに外れた幌をくっつければ垂れ下がってくることは無くなる。今のところ問題はないが、そのうち粘着力が無くなってフレームから外れるんだろうな、などと予測している。冬場は幌を開け閉めすることが少ないから大丈夫だと思うが、春になってからが心配だ。

2010/12/16

大和田秀樹 「ムダヅモ無き改革 5」

ムダヅモ無き改革 5 (近代麻雀コミックス)

 麻雀が分からなくても楽しめる麻雀マンガ、ムダヅモ無き改革も5巻まで巻を重ねた。内容のくだらなさでは定評のある本作だが、パロディギャグが絶妙な世界史系ジョークとなっており、なかなか侮れない作品だ。5巻では今までにも増して「麻雀が分からなくても楽しめる」感が増し、政治家パロディアクションの様相を呈している。そんなわけで麻雀シーンについては、相変わらず、とだけ書いておこう。

 一方で、個人的な今回の見所は麻雀シーン以外のところにあると思う。小泉ジュンイチローが月に殴り込んで行くくだりだ。米露の宇宙基地が破壊され、月へ行く手段が絶たれた状況で、どうやって月に行くのか?尻込みするG8首脳に対して「この中に男はいないのですか」とサッチャーに言わせるシーンは大和田センセイのセンスを感じる。全編が一級品のくだらなさで展開される中、後半で描かれる「地上の星」的な展開が一番の見所だ。

 ところで、本書の帯にはプレゼントの応募券が付いている。当たるムダヅモグッズは
  • 緑一色(エメラルドグリーン)「麻生タロー」Tシャツ
  • 九蓮宝燈(シベリアンエクスプレス)「ウラジーミル・プーチン」Tシャツ
  • ティモシェンコBIG抱き枕カバー
の3種類。劇中の世界は危機的状況だが、現実の日本はホントに平和なのだと再認識させられる。


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2010/12/12

真実一郎 「サラリーマン漫画の戦後史」

サラリーマン漫画の戦後史 (新書y)
 
 時代の変化に合わせ、進化を続けてきた日本のマンガ。本書はその中でもサラリーマン漫画にスポットをあて、世相との関連やそのルーツを探るものである。まず、サラリーマン漫画のルーツと、最も有名なサラリーマン漫画である「課長島耕作」との関連を解き明かした後、それぞれの時代のマンガについて考察を述べている。具体的な作品を、いくつかのカットと共に作者の背景も交えて紹介しているため、ちょっとしたサラリーマン漫画カタログとしても機能する。目次は以下の通り。

はじめに
第1章 島耕作ひとり勝ちのルーツを探る
第2章 高度経済成長とサラリーマン・ナイトメア
第3章 バブル景気の光と影
第4章 終わりの始まり
第5章 サラリーマン神話解体
あとがき

最大公約数の共感から、個別の疑似体験へ
 大衆の娯楽であるマンガは世相を鋭く反映するもの。本書では、高度経済成長期から現在にかけての、様々な視点からの世相とマンガの関連を指摘している。その中でも私が「なるほど」と思ったのは以下の点。

 親のような上司がいる家族的な会社を舞台に、営業や総務、宣伝などジェネラリストが多い部門に配属された男性正社員が、誠実な人柄で得た人脈を武器に、敵と対峙しながら成長する。源氏鶏太が高度経済成長期に確立させた、この「最大公約数」的なサラリーマン・ファンタジーは、高度成長の終わりとともにいったん姿を消したものの、80年代になると弘兼憲史の『課長島耕作』としてマンガの世界で蘇り、バブル景気の盛り上がりとともに、いくつものフォロワーやバリエーションを生んだ。

(中略)

 2000年代になると、マンガの中のサラリーマンたちは、島耕作の呪縛から解放されたかのように等身大に振る舞い始めた。出世に縛られずに、身の丈で好きな仕事に没頭する者。働きながら女としての幸せも模索する者。起業する者。転職する者。彼ら/彼女らは、もはや「最大公約数」のサラリーマンを代表しない。小さな会社の社員だったり、プログラマーだったり、女性だったり、転職者だったり、サラリーマンの中の一部でしかない彼ら/彼女らは、それぞれ自分の「特命」を生きている自分自身の代表だ。サラリーマン漫画の公約数は限りなく最小の“1”に近づきつつある。
p185-p186

「個」へのシフトが、マンガのプロット自体に影響を与え続けて来たということで、言われてみれば確かにその通りである。しかし、個別のマンガを読んでいるだけではなかなか気づかなかった点でもあり、素晴らしい分析だと感じた。

サラリーマンの明日はどっちだ
 これまで、数々のマンガで描かれてきた様々なサラリーマンたち。公約数が最小化した後はどのように変わっていくのだろう?かつては一億総中流と言われたものだが、一億総社長さん時代が来てサラリーマンという概念自体が消えていくのだろうか?はたまた、本書の筆者(現役サラリーマンでありながら物書き)のように、最大公約数の中にさらに幾つもの自分を持つようになるのだろうか?具体的な予想は難しいが今以上に多様性が増すことは間違いないだろう。揚げ足を取るようで恐縮だが、

 サラリーマン漫画の数だけ、働き方がある。
p189

では足りないくらいに。

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