学生時代からの友達の中でも、バカなことを一緒にやった友達は結びつきが強くなりがちだと思う。特殊な体験を共有することで、その時のメンバー独自の共通言語のようなものができるからだろうか。真造圭伍による「ぼくらのフンカ祭」は、そんなバカをやって育まれる友情がテーマのマンガで、文化庁メディア芸術祭マンガ部門の新人賞作品。
コミックスになるまでは全然知らなかったのだが、概要を読むと非常に面白そうだったので思わず買ってしまった。そして、読み終えたところで、そういえば、と脳裏をよぎった小説が鴻上尚史の「八月の犬は二度吠える」。読んだことはなかったが、氏がラジオ版学問ノススメで紹介していたのを聴いていたので内容はなんとなく憶えていた。似たようなテーマだったな、と。
というわけで2冊を読み比べてみた。前述の通りどちらも「若い頃のバカ」を題材に友情を描く内容。「フンカ祭」は火山の火口から大量のロケット花火を打ち上げることを画策するというバカで、「八月の犬」のほうは、戌年にちなんで大文字焼きを「犬」文字焼きにしようと画策するバカだ。途中で女の子がでてきて三角関係になってモメる、というところも両方に出てくる。
大きく異なるのは、「八月の犬」は、「若い頃のバカ」から24年後が話のメインであること。結局未遂に終わった「犬」文字焼きを、24年後に当時の仲間が再集結してもう1度やってみようという話がメインとなる。それゆえ、それぞれの境遇の変化(人生上手くいっていたり、いなかったり)や、24年前の失敗から昇華し切れていなかった感情など、色んな物が渦巻いてやや重たい雰囲気になっている。「フンカ祭」は学生時代しか描いておらず非常に爽やかな終わり方をするが、主人公たちにはもちろんその後の人生がある。「八月の犬」を参考に、その後の展開を予想してみるのも面白いのではないだろうか。
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